信濃医療福祉センター名誉所長 朝貝芳美
生後3か月頃、徐々に首の不安定さが改善してくれば、心配はありません。抱く時に赤ちゃんの頭部を大事に支えすぎている場合もあります。具体的には、たて抱きの際に、首のすわりが完全でないと心配になって支えすぎてしまう例があり、そうすると赤ちゃんが自分で頑張らないため、首の座りが遅れるという例があります。たて抱きの抱っこ紐で、いつまでも頭部の保護具を使っていることは避けたほうがよいでしょう。
あおむけに寝かせておくだけでなく、窒息に注意しながらうつぶせで遊ばせることも必要になります。
多くの赤ちゃんに左右どちらかの向き癖がみられます。首の筋肉にしこり(先天性筋性斜頚)がなければ、生後3か月を過ぎると両側を向くようになり、向き癖は目立たなくなることが多いです。(3300人の母親から聞き取り調査をしたところ、首がすわってくると、両方を向くようになり目立たなくなったという保護者が約8割です。)
あおむけに寝かせきりにしないで、後頭部の変形を防止する必要があります。後頭部の変形は成長とともに目立たなくなり、心配はないことが大半です。
向き癖と反対側の股関節の開きが悪くなり、股関節脱臼を生じることもあります。
向き癖については防止の方法など、こちらに詳しくあります。赤ちゃんの頭の変形|子どもと医療 (kodomotoiryo.com)
脳性麻痺などの異常を心配する保護者もいますが、運動発達の良い赤ちゃんでもそり返ります。大概横抱きで自由度の低い抱かれ方をしている場合に、反り返りが多く見られます。
生後6か月頃になって、足を持って遊ぶようになれば心配ないです。
うつぶせが嫌いで寝返りしない赤ちゃんもいます。嫌がれば無理に行う必要はありません。
這える赤ちゃんでは座っていることを好まないこともあります。生後10か月を過ぎて立位がしっかりすれば、お座りも安定します。
うつぶせがきらいな赤ちゃんでは、お座りのまま移動する例があります。這わないで立位・歩行ができるようになるあかちゃんもいます。這わないと腕や肩の力が弱くなるという心配はいりません。また、片方を「立て膝」のようにして這う赤ちゃんもいますが、お座りに移りやすい這い方であり心配ありません。両脚を伸ばしたまま、腕でずり這いする赤ちゃんには注意が必要となります。
生後10か月頃、立たせても支えようとせず、両脚を曲げてしまう赤ちゃんもいます。足底で支えることに慣らしていく必要があります。
お座りのまま移動する赤ちゃんでは、立位・歩行のきっかけをつかみにくく、歩行開始が遅れる例があります。
1歳6か月をすぎて歩行しなければ注意が必要となります。
多くは3歳頃になると転ばなくなります。
3か月:指しゃぶりをしない、手を握っていることが多い。
6か月:両手を体の前で合わさない、利き手や使い方に左右差がある。
10か月:指でつまめない。
・首すわりの判断は難しいが、生後5か月になっても首がすわらなければ医療機関へ受診が必要です。
・「歩行」開始時期には個人差があります。
例:正常でも1歳6か月になっても歩行せず、座ったまま移動する例もあります。
・「寝返り」、「這う」、「立位」にも個人差があります。
・0歳児には利き手はありません。
・運動発達が遅れても、できるようになれば問題がなくなる例が多いです。
2022年1月4日配信