井桁真帆(小児救急看護認定看護師)
今年もかなり暑い夏がやってきました。夏休みなど車での長距離移動の機会もふえるかもしれませんが、6歳未満のチャイルドシート使用率はおよそ7割、しかもそのうちの多くが誤使用であるという調査結果が出されています。携帯電話でもできる「チャイルドシート装着簡単チェック」などもありますので、ぜひお出かけ前に確認してみてください。
防げたはずの車内事故で悲しまないため、普段から子どもの年齢に合わせて車内でのルールを作ったり、時間に余裕をもって出かけたり、暑い時期は保冷剤を上手に利用したりと、大人が少し工夫をすることで子ども達を守っていけたらステキですね。
自転車は、5点ベルトをしっかりしめ、ヘルメットは必ずかぶらせましょう。背中やヘルメット内のタオルや保冷剤などのグッズもかしこく用いられるといいですね。日光の熱でサドルなどがとても熱くなっていることがあるので、お子さんを乗せる前には必ず大人の手でしっかりと触って確認してあげましょう。
ベビーカーでのお出かけも同様に、安全ベルトをきちんと使用しましょう。地面からの照り返しで大人が感じるよりもベビーカー周辺の気温は高くなりがちです。ミニ扇風機を取り付けている人も多く見かけるようになりましたが、外気温や設置状況によってはかえって脱水症状を引き起こしたり、お子さんが触れてケガをしてしまったりすることがあります。お子さんの手が届かない下降気流が作れる位置に、落下しないようにしっかりと取り付けましょう。お子さんの目を引かないシンプルなものを選ぶことも大切です。
夏のおでかけでは服装にも気にかけてあげましょう。肩を出すよりも腋の下に布があたるような服装のほうが体温調節がしやすく、肌トラブルも防ぎやすいです。どこでもすぐにシャワーを浴びたり着替えたりができる環境とはかぎりませんので、熱がこもってしまわないように、風通しがよく、吸湿速乾性の高い素材のものを選びましょう。背中などに吸湿性や通気性の良いタオルのようなものをはさみ、お出かけ途中で抜いてあげるのもよいですよ。
外へ出るときは、まだ歩かなくても靴下と帽子は大切です。暑熱やケガ、虫刺されなどから守るためです。夕方のお散歩や山に行くときなどは、薄手の長袖長ズボンなどで素肌の露出を避けましょう。
毛虫やチャドクガなどが素肌にふれてしまったときは、まずその場所にテープを貼ってベリッと剥がし、それから水で洗い流します。毒毛などを除去してから洗わないとその水が伝わったところ全体まで痒くなったりかぶれたりしてしまうからです。貼りつけたテープを剥がすとき、皮膚まで一緒に剥がしてしまわないように気をつけましょう。蚊に刺された場合も気づいた時点で流水で洗い、冷やしてあげると腫れやかゆみを軽減することができます。
ビーチや側溝の蓋など、直射日光下では素足で歩いたときに足の裏をやけどする、ということもあります。ガラス片や尖ったものが落ちていることもありますので、裸足で歩かせてあげてもいい時間帯や場所を、大人がしっかり選んであげましょう。また水辺では、目の届く範囲ではなく「手の届く場所で」見守るようにしてあげましょう。
旅先で食べなれない物を食べることは、小さな子どもにとっては体調を崩す元になります。地元の名産品であっても生ものや初めての食材をトライすることは控えましょう。
楽しいことが続くと、子ども達は疲れを忘れて遊んでしまいます。適度な休息と脱水予防の水分(電解質)補給はもちろんのこと、エネルギー補給にも気を配りましょう。補食としては疲れや糖分不足による自家中毒予防のため、脂肪分(チョコレートなど)のとりすぎは避け、糖質(ビスケットなど)がオススメです。
夏のお出掛けに限らず、小さなお子さんを連れてお泊りにいくときは、念のため現地の小児急患診療情報をあらかじめインターネットなどで調べておくことも心がまえになります。持病のあるお子さんは症状が出てしまったときの対応をかかりつけの先生と相談してから出掛けましょう。この夏もお子さんの健康や安全に気をつけて楽しい思い出を作ってください。
2022年7月25日配信
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