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WEB版ひだまりサロン③赤ちゃんの睡眠について②(生後2か月頃から生後6か月頃)

赤ちゃんの睡眠について②(月齢2か月頃から6か月頃まで) 

ひだまりクリニック院長 小児科医 佐山圭子

2か月前後から、赤ちゃんは、夜には少し長い時間寝てくれるようになる子が多くなります。4時間寝た…と思っていたら、5時間、6時間…中には8~10時間寝る子もいます。そうなると、こんなに寝てしまって大丈夫かな?と心配になるかもしれません。3~4か月健診でもそのような心配がよく聞かれます。

健診では発達や発育をみますから、体重の増加もよくて活発で元気な赤ちゃんならよく寝ることはラッキー!と思っていいでしょう。母乳育児中なら、朝起きた時におっぱいが張っていることがあるかもしれませんが、飲ませたらすっきりしてしこりも痛みもないなら、心配しなくてもいいと思います。3時間おきにあげないといけないという授乳のアドバイスもありますが、トラブルがないなら柔軟に考えていいと思います。夜中に飲んでくれなくておっぱいが張って困るというようなときは、RPS法という方法をためしてみたらいいかもしれません。過分泌の場合、搾乳してしまうともっと分泌が増えるので、楽になるまで搾乳することはお勧めではないです。RPS法は、「乳児栄養Q&A」を上梓された戸田千先生のブログ 
やわらかな風の吹く場所に:母乳育児を応援 (exblog.jp) 乳首・乳輪を軟らかくする方法(reverse pressure softening法)に詳しくありますので、ご許可をいただき、紹介させていただきます。

南山堂 / 産婦人科学 / 医師のための乳児栄養Q&A (nanzando.com)

体重増加が順調でない場合は、夜間の授乳回数を増やすことをアドバイスされるかもしれません。赤ちゃんが寝ていても、自分が寝る前のタイミングで授乳を誘ってみるといいでしょう。

良く寝てくれる子なら、自分時間を楽しむこともできるかもしれませんね。特に一人目の子育てだったら、夜にまとまった時間手が空くことで、やっと少し気持ちに余裕が出てくるかもしれません。二人目三人目の子育てだと、子どもたちと一緒に寝てしまうくらい疲れていることも多いかもしれませんが。

昼寝の時間(時刻や長さ)を気にされる方も多いですが、この時期の赤ちゃんの昼寝は1~2歳の子どもと違って、短時間を何回もという場合が多いです。

昼寝のとき、寝入った赤ちゃんをベッドに下ろすと泣いてしまうから、短時間ならと、ずっと抱っこをされている方もいますね。それほど赤ちゃんはお母さんとひっついていると安心なのです。立って抱っこは疲れるから、せめてソファなどに座るようにしましょう。口元は胸にうずまらないように横にしましょう。大人のお腹の上で赤ちゃんの様子がわかる状況でうつ伏せ寝にすることは、多くの方が気にしている頭の形のゆがみの予防にもなります。赤ちゃんのうつ伏せ遊びはタミータイムといって推奨されています。理学療法的な考え方です。

夜寝る時間は何時がいいのか?ということもよく聞かれます。早寝早起きは子どもの生活で大事ではありますが、あまりに早く寝ると早く起きてしまって辛いということもあります。お父さんの帰りを待ってお風呂に入れてもらいたいとか、お父さんとの時間が大事という場合もあるでしょう。でも、10時以降になってしまうのはどうだろうかと思います。だいたい赤ちゃんは10時間くらいですっきりと起きられるので、お母さんたちからうかがっても、8時に寝ると6時起き、9時に寝ると7時起き、10時に寝ると8時起き、という様子です。もちろん、10時間ずっと寝ているわけではなく、ここも個人差があるので、3時間おきに授乳という子もいますし、長く寝て1回授乳すればいい子も、授乳なしで通して寝ている子もいます。夜中に何回起きても、授乳したらすぐに寝てくれるなら睡眠時間は続いていると考えていいでしょう。

寝るのが11時、12時だけれど6時、7時に起きるので「早起きしている」と思っている方がいますが、それはちょっと違います。そういう場合、夜の睡眠が十分とれていないので、ほどなくして2~3時間朝寝をすることが多いと思いますが、その朝寝の終わりが夜の睡眠の終わりということになります。遅寝遅起きになっているのですね。保育園でも幼稚園でも学校でも、大事な活動時間は午前中です。やはり早寝早起きを心がけていると集団生活を開始する時も円滑です。では、どうやって遅寝遅起きを早寝早起きにシフトしていけばいいのでしょうか?


私は、朝起きる時間を少しずつ早くしていくことをアドバイスしています。「少しずつ」がポイントです。10分とか15分とか、そのくらいの時間です。12時に寝て朝10時に起きるような場合は、早く寝かせるようにすると同時に、9時50分に起こして慣れさせる、9時40分に起こして慣れさせる、を続けます。1週間ごとに早めていくと、お昼寝も夜寝る時間も少しずつ早くなっていくということになります。6か月になるくらいまでに、修正できるといいと思います。朝、だいだい同じ時間にすっきり目覚められると、離乳食の進めやすい時間も自然に決まってくると思います。

月齢5~6か月になると、また睡眠の様子が変わってきます。次回はその時期のお話しをしますね。


(2024年10月2日配信)

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