アルパカ小児科耳鼻科クリニック 小児科医
藤原摩耶(アレルギー専門医)
私たちの体には、ウイルスなどの病原体から体を守る「免疫」という力があります。食物アレルギーとは、この 「免疫」が本来無害なはずの食べ物に対して過敏に反応してしまう状態をいいます。
生後間もなく顔からはじまる湿疹。小児科や皮膚科を受診すると、最初は保湿剤を処方されます。それでもなかなか治らない時は、ステロイド外用薬(ぬり薬)もしくはステロイドと保湿剤を混ぜた外用薬が処方されます。
小さなわが子に赤ちゃんの時期からステロイドを使うことにちゅうちょされる親御さんもいらっしゃるかと思います。けれど湿疹の状態が悪いほど皮膚のバリア機能が低下し、食物アレルギーの原因物質が体内に入りやすくなります。
湿疹を早い時期に治療すれば、皮膚から原因物質が入り込むことを防ぎ、その後の食物アレルギーの発症を防ぐ事ができるかもしれません。
外用薬を使用してもよくならない、もしくは薬をやめると悪化することを繰り返す場合は、アレルギー専門の小児科医に相談してみてください。
離乳食を始めるときに一番心配なのは、わが子に食物アレルギーがあるかもしれない、ということではないでしょう か?
第一に、発症を100%予防することは不可能と考えてください。
乳児の食物アレルギーは三大アレルゲンである、鶏卵、牛乳、小麦が全体の90%を占めますが、豆腐、白身魚などあらゆるものでアレルギー症状が起きる可能性はあります。離乳食で新しいものを試す時は、何かあったときに医療機関に受診できるよう、平日の日中にされることをお勧めします。
食物アレルギーの症状は原因の食物を食べた後、早ければ15分以内、
概ね2時間以内に症状が現れます。
最も現れやすいのは顔面紅潮やじんましんなどの皮膚症状ですが、 呼吸が苦しくなったり(呼吸器症状)、吐いたり(消化器症状)と、多様な症状(アナフィラキシー)が現れることがあります。
ただ、口周囲の発疹のみの場合はアレルギー症状ではなく、塩分やアクなどによるかぶれの可能性もあります。特定の食べ物を食べた後、何らかの症状が出ることを繰り返す場合は、食物アレルギーと自己判断することは避け、医師に相談してみてください。
食物アレルギーを発症したこどもたちの80%近くが成長に伴って自然に軽快することがわかってきました。詳細な問診、経口負荷試験や血液検査の結果をもとに、食べても安全な量(時にはクッキーなど加工品を利用しながら)を検討し日常生活で少しずつ摂取することを勧めています。
しかしわずかな量の原因食物を口にしただけで強いアレルギー症状が出る子どもは微量に含まれた加工品さえも制限を強いられることも少なくありません。このような場合は「経口免疫療法」が適応になることがあります。
2歳を過ぎても制限を緩めるめどが立っていない場合は、アレルギー専門医に相談してみるとよいでしょう。
Q.「毎日特定の食品を食べ続けると、からだに蓄積されて食物アレルギーになる」と聞いたことがあり、気になっています。
A. 花粉症や猫アレルギーなどは、原因となる物質(スギ花粉や猫の毛など)と、一定レベルをこえる接触をすると発症します。
しかし、食物アレルギーに関しては、これとは少し異なると考えてください。例えば、小さい子にありがちな「納豆ばかり食べる子」が、納豆(大豆)アレルギーになるということはありません。
食物アレルギーを発症してない場合、こうした幼児期の偏食は、ある程度目をつぶってよいと思いますが、栄養のバランスを考えて食事を選びましょう。
また、すでに何らかの食物アレルギーを発症している場合は、慎重な対応をしたほうがよいので、専門医と相談してください。
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