乳児(生後すぐ〜1歳まで)
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子どもの円形脱毛症について
子ども 心と育ちのクリニック 小児科医 森 享子
「円形脱毛症」は子どもにも時々見られる疾患で、髪の毛に関連した受診では「抜毛症」とともに代表的な疾患の一つです。
名前の通り髪の毛がまるく抜けてしまうのですが、1か所だけだったり、複数だったり、大きさや形により様々な型があります。髪の毛だけではなく、まつげや眉毛、体毛などが抜けてしまう場合もあります。
一方、「抜毛症」は自分で毛を抜いてしまう疾患で、円形脱毛症との区別が必要です。
円形脱毛症は、基本は円形で触るとつるつると平滑であり、周囲の毛髪も容易に抜けやすいのに対して、抜毛症は周囲に短い切れ毛が多く、触るとざらざらしていることが多いです。
勉強中やTVを見ているなど何かに集中している時に、髪を抜いていることが多いようです。両者が合併していることもあります。
何か大きなストレスによるものではないかと考えられがちですが、直接的な原因としては自己免疫疾患説が有力です。
自分の身体の一部(毛包組織)を異物とみなして、免疫細胞が攻撃してしまうのです。
その免疫細胞の誤作動の引き金として、ストレス、感染、疲労、遺伝による体質などがかかわっているのではないかと考えられていますが、実際には明らかな誘因がないことも多くあります。
単発であったり、脱毛斑が数個以内と軽症の場合は、およそ8割が1年以内に、特に治療をしなくても自然に治ると言われています。
1年以内といっても一度抜けた毛髪が生えてくるにはかなり時間がかかりますので、根気よく待つことが大切です。
まだらに抜けたり、蛇行している場合などは、長期的な治療が必要となりやすい傾向があります。
まずは、規則正しい生活習慣とともに、誘因となりうるストレスなどがないかアンテナを張ってみましょう。
髪が抜けるということは、子どもによっては大きなショックを受けることもあります。
家族が必要以上に心配したり、人目を気にしすぎしないように意識し、髪型を工夫したり、大きなリボンやバンダナ、帽子などで、前向きに過ごせるようサポートするとよいでしょう。
範囲が広く、本人のストレスが大きそうな場合には、子ども用ウィッグを使うこともあります。
また学校では、からかわれないよう周囲に疾患の理解を促したり、必要に応じて配慮を求めるとよいでしょう。子どもとよく話し合って、気持ちを汲んであげることが大切です。
薬物療法としては、免疫機能を抑制して炎症を抑えるステロイド外用薬や、血行を良くして発毛を促す塩化カルプロニウム外用(フロジン液)などがあります。
そのまま様子を見てよいものか、感染などほかの病気がないか確認するためにも、もし脱毛に気がついたら、皮膚科、あるいは小児科を受診するとよいでしょう。
2021年10月4日発行
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