NPO法人 AQUA kids safety project
代表 すがわらえみ
警察庁「水難の概況」では、令和3年の水難事故発生件数は1395件。中学生以下の子どもでは、119件起きています。日本の水泳教育は、泳力重視の時代もあり、親世代が「水辺の安全」を学んでいない場合もあります。「水難事故に遭わないために、どんな対策をしたら良いのか分からない」「水辺は気をつけてね、くらいしか言えない」そんな方も、いらっしゃるのではないでしょうか。水辺へ遊びに行く前に、まず大人が「水辺の安全」を知ることから、始めませんか?
シンプルにお伝えすると「溺れてしまってから出来ることは、難しくて少ないから」です。
実際に、水難事故について「時を戻しながら」見ていきましょう。
私達にできることは通報と救命手当のみです。人工呼吸、心臓マッサージ、AED。これらを的確に実施する必要があります。また溺水の場合のみ(体内の酸素が足りない状態なので)救命手当は人工呼吸から実施する、未就学児は小児AEDを使用するなど、非常に難易度が高いです。
≪少し、時を戻して考えてみましょう≫
私達に出来ることは「通報、励ましの声掛け、陸上から救助(陸から浮きを投げるなど)」のみです。また、水中救助は救助隊に任せましょう。泳げるからと言って、飛び込んではいけません。「泳げる」≠「水中で救助できる」だからです。助けに入った人も溺れると、救助すべき人数が増えてしまい、当初助けたかった溺者の救助も遅れる場合があります。
≪もう少し、時を戻して考えてみましょう≫
①②になってしまうと、私達に出来ることは少なく、難易度も高いです。
最初から「溺れない」、つまり「予防」しておくことが大切です。そして、私達に出来る予防策は、簡単でたくさんあります。
~水辺へおでかけ準備~
・海の場合、ライフセーバーの有無を調べる(子連れはライフセーバーのいる海がオススメ)
・アクアシューズのサイズ確認、または購入(2000円前後で購入可能)
・宿泊先やキャンプ場に貸出ライフジャケットがあるかチェック→ない場合は、事前レンタル、購入を検討
・雨天などの場合「中止」の基準を事前に決め、代案を考えておく→当日、強行せずに済む
・家族で水辺の安全動画を見る(水辺でないところがベスト)
・水辺の安全キーワード「サンダルバイバイ」を確認(帽子、浮き輪も)
~前日~
・大人の役割分担(誰が、どの子といるのか決める。「子どもをみんなで見る≒誰かが見ている」になりやすい)
・おでかけスポットの周辺(川なら上流地域も)前日の雨量など天気調べる(深さが増している可能性)
~当日、現地で~
・現地到着後、大人が先に水辺に入り、遊ぶ場所を確認。急に深くなることろ、滑りやすさ、流れが強いところなどを確認して、子どもたちに伝える(水遊び始める前に必ず!)
・ライフジャケット、アクアシューズを装備
・2人一組で行動
・休憩をとる(特に、事故発生の多い午後。「目を離さない」ための集中力の維持)
サンダルなどのモノが流されて溺れる事故が起きています。大人も子どもも、流されたモノは、追いかけずバイバイしよう!これが「サンダルバイバイ」です。サンダルは買えても、命は買えません。しかし、子どもが流されたものを「追いかけない」と咄嗟に判断をするのは難しいです。事前に「普段モノを大切にと伝えているけれど、流された場合は追いかけなくていいよ」と伝えてあげましょう。水辺へおでかけの際は、最初から脱げにくいアクアシューズを履きましょう。
「サンダルバイバイ」を伝える無料コンテンツは、下記よりご覧いただけます。ご活用ください。
NPO法人AQUAkids safety project HP
www.aquaproject721.wixsite.com/website
サンダルバイバイのうた
サンダルバイバイおやこ条約証書
・選ぶポイント→体のサイズのあったもの(普段の洋服サイズを参考に、ベルト微調整。大きすぎると動きづらい)、股下ベルトは必須。
・片付け方→バックルを外して水洗い、陰干し(詳細は取扱説明書に従って下さい)
水辺の子どもたちの笑顔は、普段とはまた違った輝きを放ち、キラキラしています。一方で、日本で完全に安全な海川は1か所もありません。天候などにより、状態が変化するためです。海川へ遊びに行く際は、人間の私達が安全対策をしなければいけません。水辺からの帰り道にみんなで「楽しかったね」と笑えるように、水難事故の「予防」を出来ることから始めましょう。
2022年8月2日配信
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