ユアクリニック秋葉原院長 杉原 桂先生
「ステロイド」ときいて、あなたは何を思い浮かべますか?
なんか、こわいな~なんて気持ち、どっかに感じませんか?
そうです.薬には例外なく副作用があるのが事実です.
ちょっと薬の辞典を開いてステロイドの重大な副作用は何か、しらべてみましょう。
「感染症の悪化、誘発や症状を隠蔽 副腎皮質機能不全 糖尿病の誘発、悪化、血糖上昇 消化管潰瘍・・・・」まだまだリストは続きますがこのへんにしておきましょう。
私も怖くなってきました(^_^;)
そもそもステロイドって何なんでしょう。
実はこのステロイドは皆さんの腎臓の上にちょこんと乗った副腎と呼ばれる臓器で創られているホルモンに他なりません。
このホルモンには大切な仕事があって、抗炎症作用や抗アレルギー作用、免疫抑制作用など、人体に必要な作業を行うために必要不可欠なホルモンでもあるのです。
な~んだ、自分の身体の中でも毎日仕事をしてくれている生体で創られる成分を合成したものだったのですね。
もうひとつ、考えておく必要があるのは同じステロイドでもいろいろな薬の投与方法があるということです。
あなたが考えていたのは注射の薬ですか、カプセルのような飲み薬ですか、それとも塗り薬ですか?
もしかすると、パウダーのような吸入薬かもしれませんね。
九州大学皮膚科のHPから情報をもらってきました。(一部改変)
注射や飲み薬は全身に作用するため全身性の副作用がでますが、塗り薬は皮膚の患部に直接作用するため、皮膚から吸収されても血中に入る量はごくわずかです。通常の使用量は全身性の副作用はでません。
塗り薬による副作用の多くは、塗った場所のみです。
皮膚に対する副作用はステロイドの副作用のなかでも軽い副作用に分類され、「薬の塗布部分で毛が増える」、「皮膚が赤くなる」、「毛細血管が拡張する」、「皮膚がややうすくなる」などがあります。
「ステロイド外用薬を塗ると肌が黒くなる」という人もいますが、ステロイドは皮膚の色素産生を抑えるため、肌の色はむしろ白くなります。アトピー性皮膚炎は皮膚の炎症ですから、ちょうど日焼けの炎症が治ると色素沈着が起こるように、アトピー性皮膚炎も炎症がおさまった後は色素沈着が起こります。
これがステロイドの副作用と誤解されているようです。
では、吸入の薬はどうでしょう。
吸入ステロイド薬は肺や気管支から体内への吸収が少なく全身的な副作用がほとんどないという利点があります。
ただ、超大量の吸入ステロイド薬を長期間用いると0.9cm程度の成長障害をきたす報告がありますが、薬をやめれば身長の伸びはほぼ正常化することがわかっています。
またのどがイガイガしたり、声がかすれるなどの副作用がありますが、これらは吸入補助具の使用や吸入後のうがいなどで減らすことが出来ます。
なんだか、漠然としていた不安に形が与えられてきたようです。
目にみえるようになるともやもやしていた不安もすっきりしてきたような気がします。
では、どうして皆さんの不安はうまれたのでしょう.確かに愚かな医師がガイドラインにも従わずに乱用するという場合もあるでしょう。
実際に強いレベルのステロイドを漠然と13年間、顔に使っていて裁判で争われた例があります。
また、昨今の健康食品会社や一部マスコミの煽りの影響もあるでしょう。
「ステロイドは怖いですよ~うちの製品は自然ですから安全ですよ~」といった人の不安につけこんで粗悪品を数万円、数十万円で販売している商法はあとをたちません。
(参照:http://www.kokusen.go.jp/test/data/s_test/n-20080716_3.html)
私は「ステロイドは包丁である」と考えています。
包丁は危険でしょうか?
確かにおかしな人がふりまわしたら、これは危ない。
じゃあ、どうして包丁は発売禁止にならないのでしょう。
どうして皆さんもそんな危険なものを家においておくのでしょうか。
みなさんも一度は包丁を使っていて指を切るという副作用を経験したことはありませんか?
たぶん、この副作用は発症率ほぼ100%だと思うのですが・・・
そうです。
道具に問題があるのではありません。
それを使う人間が間違った使い方をして問題をおこすのです。
包丁も、ステロイドも同じ道具です正しく使えばこんなに安全で便利なものはありません。
いたずらに包丁をおそれることがないようにステロイドという薬を信頼できる医師の指導に従って約束通り使用すればきっとあなたのために役立ってくれる道具としてその真価を発揮してくれることでしょう。
参考文献:九州大学皮膚科ホームページ
http://www.kyudai-derm.org/part/atopy/index.html
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2021年8月26日配信
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