国立成育医療研究センター 周産期・母性診療センター 妊娠と薬情報センター
村島温子
妊娠中にお薬を使う、ないしは使ったことに悩んでいる女性の相談に応じるために16年前に開設され、これまで2万人くらいの相談にあたってきました。
妊娠中に使用しても大丈夫なお薬のほうが多いのですが、中には「催奇形性」や「胎児毒性」と言って、赤ちゃんに害を及ぼす可能性のあるお薬もあります。
このようなお薬は「専門的な知識を持った薬剤師や医師が対面でカウンセリングすべしとの判断で、以下のホームページに記載のある全国47都道府県にある「妊娠と薬外来」で、カウンセリングが受けられるようになっています。
妊娠と薬情報センター:「妊娠と薬外来」一覧 | 国立成育医療研究センター (ncchd.go.jp)
当然のことながら、赤ちゃんはお母さんのおなかの中で育って生まれてきます。
「健やかな母性に健やかな児は育つ」というのが私の専門である母性内科の理念ですが、お母さんの体調が不良であれば赤ちゃんにとっても不適切な胎内環境となります。
すなわち、お母さんの体調を整えるために必要なお薬であれば使用したほうが良いことになります。
かといって、催奇形性や胎児毒性のあるお薬を使うわけにはいきませんので、赤ちゃんにも安全なお薬を選んで使うことが必要です。
一方で、妊娠していると知らずにお薬を飲んでしまい、「添付文書」といって、お薬の使用説明書を読んだら「妊婦さんには使用してはいけない」と書いてあるお薬だった、ということで真っ青になって駆け込んでくる女性が時々いらっしゃいます。
このような記載があっても大丈夫なお薬のほうが多いのですが、心配であればご相談ください。
持病でお薬を飲んでいる方の中に、
「妊活中だからお薬を飲むのを我慢しようかしら」
「持病でお薬を飲んでいるから妊娠は先延ばしにするしかないわ」
などと思っている方は多いのではないでしょうか。残念ながら妊娠適齢期は確実にあります。
持病の薬物治療と妊活を両立させるお手伝いをするのも、我々の仕事です。
胎盤が完成してくる妊娠中期以降はお母さんが使用したお薬がおなかの赤ちゃんに移行して害を及ぼすことがあります。これを「胎児毒性」といいますが、妊娠後期の非ステロイド性抗炎症剤(イブプロフェンやロキソプロフェンなど)が身近な例です。
妊娠中の痛み止めや解熱剤はこれらの薬剤ではなく「アセトアミノフェン」を使用します。
母乳栄養は赤ちゃんのみならず、お母さんにとっても多くのメリットがあります。
しかし、前述した添付文書ではほとんどのお薬が「お薬を使用するときは母乳をあげないこと」となっています。
そのため「添付文書」が赤ちゃんの母乳を飲む権利を奪っている、という表現をされる小児科の先生も少なくありません。
お母さんが使用したお薬が母乳中に分泌され、赤ちゃんに作用するまでは、多くの「バリア」があります。
一部のお薬を除くと、母乳に分泌されてお薬が赤ちゃんに影響することはまずありません。
このようなことから、授乳中の服薬については、母乳栄養のメリットと、母乳を介して赤ちゃんが受けるお薬の影響のバランスで判断することになります。
当センターのホームページからダウンロードした問診票に(できない場合にはセンターから郵送も可)、必要事項を記入し郵送することから始まります。
2022年5月以降はWebで相談申し込みができるようになります。
詳細はホームページをご覧ください。
http://www.ncchd.go.jp/kusuri/process/index.html
不明な点は、事務局にお電話ください。
■電話番号 03-5494-7845
■受付時間 平日10:00~12:00、13:00~16:00
*授乳中のお薬の安全性については、指定時間内であれば電話相談を受け付けています。
2021年11月22日発行
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